三年10

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「そうだよ。いつまでも落ち込んでいるのも見てられないよ。明日からはもう忘れて、自分とは関係のないことだったなんて暢気に生きるのはちょっと違うけど、大祐君が落ち込んだって誰も救われないって」  佐々木は少しの間、目を閉じて考えに耽っていた。 「俺はどうしたらいいんだろう?」  まさに自分の心の中からこぼれ落ちたように無意識に呟いた。 「自分が納得できないって思うんだったら、何か行動を起こすのが一番だよ。ほら、いつまでもくよくよ悩んでたって何もいいことなんてないよ。昼間言ってたじゃない。この土日で何とかするんでしょ?」 「俺が何かして、何か変わることってあるのかな?」 「え?」 「明日、ちょっと話を聞きに行こうと思ってるんだ。思い当たることがあるし。そのことで、何か変わることがあるのかなって。一般情報が事件を解決に導くこともあるらしいし、無駄にはならないんじゃないかなって思ってるんだけど」 「うん、きっと無駄にはならないよ。大祐君なら、あっさり事件を解決しちゃったりするかもね」 「いや、そんな大したことが出来るなんて思わないよ。でも、例えば今は一日を二十四時間で刻んでいるけど、俺が何かして、一分でも短く、二十三時間五十九分で刻ませることぐらいなら出来るんじゃないかなって思ってるんだ。それぐらいのことが出来なきゃ許されない」
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