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「大祐君ならきっと出来るよ」
由利は力強く言ってくれた。
「でも、一日が一分も短くなったら、大変なことになっちゃうね」
次は一転しておどけた口調になった。
「例え話だって。最近、何となく高屋に似てきたんじゃないの」
佐々木は思わず笑ってしまった。
二人で声を出して笑った。
決して大きな声ではない。
僅かな時間だった。
それでも暗闇の中で二人の笑い声がこだました。
その笑い声が二人を包んでそのまま、見たこともない場所に連れて行ってくれる気がした。
「それで、明日にでもあの三人組を探しに行くの?」
由利がふうと息を吐いてから言った。
「いや。あの三人組はとりあえず置いておく。もう一つ、思い当たることがあるんだ。去年の、たしか七月だったかな? あのこと覚えてない?」
佐々木は高屋の前では口に出来ないと思ったことを話し始めた。
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