二年1

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 そう言われればそういうことは少なくない。  勉強というのは人を測る一番分かりやすい物差しとなっている。  有名進学校に通っているということで優越感に浸れることもあったが、そんなことと同じだけ嫌な思いをすることもある。  部活の試合に行くと高校名を見るだけで見下されるし、真剣に取り組んでいると思われない。  どうせ片手間なんだろと陰で言われているのを偶然耳にしたことがある。  その時はショックだった。  煙草を吸ってかっこつけている奴なんかよりよっぽど真面目にやっているのだ。  佐々木の言っていることも分からなくはない。  だけど、だからと言っていじめは許されることではない。 「結局、お前は日本で起きるいじめは仕方ないと思ってるのかよ」 「仕方ないとまでは言ってないだろ。仕方ないと言える側面もあるという程度だよ。いじめがあるっていうのは、人間が集団で生きてるってことじゃないのか」 「回りくどい言い方するなよ。結局、お前はいじめ肯定派なのか、否定派なのか、どっちだ?」 「いじめを肯定するやつはいないと思うけど。でも、だからと言って否定することも出来ないと思う。さっき言ったように、俺たちは常に差別と隣り合わせで生きてる。差別の意識もいじめの意識とあまり変わらないだろ。だから俺は胸を張って、自分はいじめ反対だなんて言えない。詐欺師が詐欺は卑劣な行為だからやめましょうなんて言ったって、説得力がないだろ」
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