二年1

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「おお、そうか。じゃあ、早速明日にでも行こうぜ。善は急げって言うからな」  高屋は飛び上がりたいぐらい嬉しかった。  佐々木がいるのといないのとでは天と地ぐらい違う。 「それで、どうするつもりなんだ?」 「毎日、昼休みに体育館の二階の更衣室前で金を巻き上げられているらしい。そいつの家は金持ちだから、今のところはなんとか持って来れてるらしいんだけどさ。もちろんいじめはそれだけじゃない。パシリや宿題とか、面倒なことを押しつけるのは当たり前だし、時には暴力も振るわれるみたいなんだ」 「だから、明日の昼休みに金を巻き上げているところを押さえようってことか。まあ、そっちの方が俺たちも人目に付かなくていいかもな」 「でも、そんなことしたら、今度は大祐君たちがいじめられちゃうんじゃないの?」 「そんなことを言ってるから誰もいじめを止めないんだ。終わった後のことは、またその時に考えればいい」  せっかく佐々木が乗り気になったのだから冷めるようなことは言わないでほしかった。 「それにいじめてる奴なんて、相手が何もしてこないからいい気になってるだけだ。こっちが強気に出れば、相手が俺たちを標的にしようなんて思わないよ。まして、元々関わりのない三年が相手だしね。その後にどうこうなるってことは考えにくい」
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