三年1

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 そう言うと佐々木は先ほどの興奮が蘇ってきた。  仕返しという言葉に反応しているのだと分かる。  懐かしさを感じるその感情は、小さい時、見知らぬ土地を求めて自転車で走り回っていた時のような感覚だった。  その幼い感情を隠そうとして、また言葉を続けた。  多少、不自然な言い方になってしまったと自分でも分かった。 「もう一つ、あるな。お前が、強姦魔になってしまえばいいんだ」  今度は高屋の言葉が出てこない。  何を言っているんだ、と言いたげな怪訝な顔をしている。 「お前が本物の強姦魔になってしまえば、殴り殺されても問題ないだろ」  そう言い終えると同時に、SHRの開始を告げるチャイムと担任の木島が扉を開く音が共鳴する。  木島はいつもチャイムと同時に教室に入ってくる。  そして、これまたいつもと同じ、「席に着け」という言葉を間延びした声で発してくる。  木島の行動のあらゆることには感情を引っ掻いてくるような不快感があった。  しかも、傷跡を残さない程度のものだから何が気に障るのかということが分からないことに余計に腹が立つ。  しかし、嫌いな人間と言うのはそういうものだろう。  木島の指示に従い、クラスメートはそれぞれ自分の席に着く。  みんなと同じように佐々木は自分の席である一番後ろの窓際の席に向かった。
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