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それと、佐々木にはもう一つ気になることがあった。
明らかに相手は、佐々木たちのことを知っている口ぶりだった。
しかしここにいる全員、見た覚えすらない。
「お前らがどう生きようが、勝手にすればいいだろ。だけど、いじめだけは許さない。そのせいで苦しんでいる人がいるから。とにかく、今、取った金を返せ!」
高屋が言い返す。
「お前は、何か勘違いしてるみたいだな。こいつが金をくれるって言うから、俺たちは貰ってるだけだぜ。それに、俺たちは友達だから、一緒に遊んでいるんだ。もう友達同士で遊ぶなって言うの?」
背の高い男はとうとう開き直ってしまった。
こうなってしまうと始末が悪くなる。
「なあ、そうだよな。別に俺たちがいじめてるわけじゃないよな」
いじめられっ子が、俯きながら曖昧に頷いた。
何となく佐々木たちに顔を見られないようにしているみたいだった。
「ほらみろ」
背の高い男は勝ち誇ったような顔をしていた。
高屋は悔しげな顔をして黙り込んでしまった。
いじめられっ子に戦う意思がなければどうしようもないのだ。
「もういいだろ。さっさと、どっか行けよ」
背の高い男が追い打ちをかける。
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