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高屋が戦闘不能になってしまったのでこうなると佐々木の出番だ。
高屋の前に出る。
「あんたらが口で何と言おうと、俺には関係ないんですよ。俺たちの前でいじめが行われていることは事実だ」
「だから、こいつがいじめられてないって言ってるんだから、いじめなんてないんだって」
背の高い男は言った。
「だから、あんたらがどう言おうと関係ないって言ってるだろ。一回聞いたら理解しろよ。馬鹿じゃないのか。いじめかどうかは俺が決める」
「何言ってんの? 何で関係ないお前が決めるんだよ」
佐々木は何も言わず背の高い男の横を通り過ぎて、いじめられっ子の前に立った。
体を小さくしていたが、近くで見るとそんなに小さくない。
おそらく、ちゃんと立つと佐々木よりも高い。
そして伏せたままの顔を見るが、やはり見覚えがなかった。
高屋はなぜこいつを助けたがっている?
「おい、何してるんだ?」
誰かが背中の方から言った。
対峙している佐々木といじめられっ子の周りを全員で囲んでいた。
「このままでいいんですか? 高屋が自分のリスクを顧みず、あんたを助けに来てるんですよ。それでも、まだいじめられたままの方がいいんですか?」
佐々木がいじめられっ子に問いかけた。
一瞬、いじめられっ子は顔を上げかけたが、すぐにまた俯いてしまった。
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