三年1

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 起立、礼、と高屋の声が教室に響き渡る。  そして、木島が出席を取り始めた。  出席が終わるとまた、木島のくだらない話が始まるのだろう。  県内有数の進学校であるこの高校の中でも、このクラス、つまり選抜理系コースは特に期待が大きかった。  そんなクラスの担任を任せられたら、木島も力が入るのだろうが、それにしても、毎日毎日、受験は気力の勝負だ、であるとか、受験は最後まで諦めなかった奴が合格する、であるとか何十年も前から使い古されて、味のなくなったガムさながらの精神論を平気で振りまくのは聞くに堪えない。  聞いていても仕方がないので、意識を現実から離れたところに置くために窓の外から見える誰もいないグラウンドに目を遣る。  誰もいないグラウンドと言うのは真っ白いキャンバスのようで想像力を掻き立てる。  それをぼんやりと見ていると、高屋がさっき、二人を親友だと言っていたせいで、初めて出会った二年前の春のことを思い出した。
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