三年11

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「そんなこともあったね」  由利は図書館に来る前の高屋との会話を思い出していた。  高屋が何か言おうとしてやめたのはこのことだったのか。 「高屋に恨みがある人物って言ったら、あいつらぐらいしか思い浮かばないんだ。もしかしたら、そのことと今回のことが関係あるのかもしれない」  始めは由利も心配していたのだが、あの事件の後、佐々木たちの周りに取り立てて変化はなかった。  強いて言えば、あのいじめはあれ以降なくなったという話を後になって聞いたぐらいだ。  佐々木がカッターナイフを使って脅しつけたというのは本来であれば大事件になるのだが、彼らとしてもそのことを報告するには自分たちのいじめを告白しなくてはならず、そのため彼らはあの事件をいじめとともに墓場まで持っていかないといけなくなっていた。  おそらく佐々木はそこまで考えていたのだろう。  佐々木に言われて由利も思い至った。  その鬱憤を発散させるために高屋に仕返しをしようとしているのではないか。 「それで、その人たちはどこにいるか知ってるの?」  由利は訊いた。 「その中の一人が駅前のレンタルビデオ店で働いているのを見かけたことがある。明日にでも、行ってみようと思ってる。明日は土曜日だろ。今は大学生のはずだから明日も働いてる可能性は高い」
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