三年11

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 そこは駅から徒歩二分と謳っている場所にある。  実際に歩けばもう少しかかる気もするが決して誇大広告とまでは言えない距離で立地条件に恵まれた場所だった。  さらにその店はレンタルビデオ店とは名ばかりの、本、ゲーム、軽い飲食物まで買える総合商店であったので平日でも客は多い。  そのため由利もレンタルの目的以外で何度か利用したことがある。  先週も大学の過去問を買いに行った。  そこには佐々木の言うとおり休日はアルバイトが何人もいる。  そこで働いているなら明日いてもおかしくはない。 「直接会いに行くつもり?」  それは危険ではないのかと心配になった。 「もちろん」  佐々木は力強く頷いて言った。 「その方が効果的だと思う。彼らが関わっていたとしても、そうでなかったとしてもね。多分、俺の顔を見た時の反応で分かると思う」 「もし関わっていたとしたら?」  そうであったら高屋と同じ目に遭うかもしれない。  佐々木が会いに来るということは自分たちのしたことが少なくとも佐々木にはばれたということである。  そうなった時、彼らがどう出るか分からない。  今回は新聞やテレビでも騒がれている犯罪なのだ。  罪に問われないいじめとはわけが違う。
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