61人が本棚に入れています
本棚に追加
「別にどうってことない。俺が関わっているって思ったら警察に何とかしてもらうよ。嘘の証言でも適当に言ってさ」
佐々木は強がっている。
そんな嘘の証言を警察がまともに取り扱ってくれるなんて佐々木が考えるはずがない。
「不安なんでしょ？ 何となくいつもと雰囲気が違うよ。危険だと思ってるなら、高屋君にも付いて来てもらったら？」
由利は思わず口調が強くなる。
佐々木は正直に言おう決めたみたいでふっと息を漏らした。
「リスクがあることだっていうのは承知してる。不安がないわけじゃない。だけど、今のまま警察に届けるわけにもいかない。もし違えば大問題だからね。俺なりに確信をもってからにしたいんだ」
「だからって、大祐君が危険を冒す必要はないでしょ。もうちょっと考えてからにしようよ。何か、らしくないよ」
佐々木は本来慎重派だ。
こうしてリスクを冒そうとはしない。
それだけ焦っているということだ。
「高屋も言ってただろ。今こうしている間にも被害者が出てるかも知れないって。それに、俺に危険が及ぶってことはやっぱり彼らの仕業だったってことだろ。それなら尚更、俺がリスクを冒さないわけにはいかない」
「どうして？」
由利には佐々木の言いたいことが分かっている。
最初のコメントを投稿しよう！