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「俺たちのせいで事件が起きたなら、俺たちで止めなきゃいけないと思うんだ。何の関係もない人が被害者になってるんだから。あと、高屋は連れていけない。あいつはもうこの事件で被害者になってる。まだ何の被害も被ってないのは俺だけだ」
佐々木の話によれば去年の事件を決着したのは高屋ではなく佐々木自身だ。
あの事件に端を発しているなら佐々木は見ているだけというのは我慢できないはずだ。
少し間が空いて由利が言った。
「でも私はその人たちが犯人じゃないと思うな。だって変じゃない? 罪を被せるのが仕返しなんて。自分たちが捕まる可能性の方がよっぽど高いのに」
「それはそうなんだけどね」
佐々木はなるべく明るい口調を心がけて不安を与えないようにしている。
「でも可能性がなくはないと思う。少しでも可能性があるのならそこから探って行くしかないと思うんだ。他に思い浮かぶことがないから。もしかしたら、やっぱり俺たちに関係がないことかもしれないしね」
「それでも直接会いに行く必要はないんじゃない? やっぱり危険だって。昼間言ってたみたいにとりあえず考えてから行動した方がいいよ」
「何もしなければ何も分からないままだよ。高屋が言ってた通りだ」
佐々木は照れくさそうな表情になる。
「とにかく知りたいんだよ。何でこの事件が起きたのか。犯人を許せないのかもしれないし、ただ単に自分とは関係ないって安心したいだけなのかもしれない」
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