三年11

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「よくよく考えてみたんだけどさ、もし犯人が彼らだとしたら、彼らじゃないにしても俺たちに恨みがある奴だとしたら、真っ先に狙われるのは由利だと思うんだよ。それが俺たちに一番精神的にダメージを与えられると思うんだ」 「でも、あたしが襲われる前にもう何人も被害に遭ってるよ。やっぱり、大祐君たちとは関係ないんじゃない?」  真っ先に自分が狙われているのならその間にあまりに多くの人が被害者になっている。 「いつも俺たち二人で帰ってるだろ。だからチャンスがなかっただけかもしれない」  佐々木はそう言うと周りを見回した。  今も佐々木たちの周りを誰かが付け回しているのではないかと気になったからだろうが、そんなことをされると余計に不安なる。 「じゃあ、ずっとあたしのことを狙ってるの?」 「そうとは限らないよ。ただ可能性はある。だから気を付けて欲しいんだ。昼間でも極力出かけないで、もし出かけるなら必ず誰かと一緒に」 「うん、わかった。出かけない」 「そうしてくれると俺も安心だよ」  じゃあ、おやすみ、と言って佐々木と別れた。
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