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「どうしたんだ?」
「いや、実はこの間、高屋が誰かに襲われたんです。だから何か知ってるんじゃないかと思って」
多少の嘘をついたのはこの方がまだ理解しやすいと思ったからだ。
「襲われた? あいつ、大丈夫なのか?」
驚いていて、それでいて本気で心配している。
「ええ、まあ。高屋自身は大した怪我はしてないです。それで何か知ってることはないですか?」
不思議なまでの馴れ馴れしさに佐々木は違和感を覚えた。
どこで仲間意識を感じているのだろう。
「なるほど。そうなれば一番怪しいのは俺たちだもんな。だけど俺たちは関係ねえよ」
「俺たちって、まだあの時のメンバーと付き合いがあるんですか?」
「この間の夏休みに同窓会したんだ。付き合いっていったらそれぐらいかな」
「同窓会」と思わず声に出してしまった。
卒業して半年では同窓会とは言えないのではないかと思った。
「何だよ。馬鹿にするなよ。同窓会は毎年やらないと駄目なんだって。五年後とか十年後って言うと絶対やらなくなっちゃうからな。毎年やっとくとクリスマスとか正月みたいにやらないといけない気分になるだろ」
彼は自慢げに言った。
「そういうもんですか」
一理あるが結局は高校生に未練があるだけだろう、と佐々木は心の中で呟いた。
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