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二年前の春、佐々木たちは入学式を終えて自分の教室に集められていた。
佐々木の中学からはこの高校に入学したのは佐々木一人だったため、特に話をする友人もいなかったので、一番後ろの窓際の席に座っていた。
この席は最初から決められていたのだが、結局三年生になってもこの席以外に座ったことがない。
席替え等で違う席に変わる機会はあったが、佐々木はこの席が気に入っていた。
一番後ろというのは、後ろの人を気にしなくてもいいし、窓際なら退屈な時に外を眺めていられる。
だから、一度もこの席を譲らなかった。
友人がいずに時間を持て余しているのは、佐々木だけではなく、ほとんどが同じように自分の席に着いていた。
このような進学校では、各中学校の精鋭が集まって来ているので、そういう人は珍しくないのだ。
そのせいで教室は静まりかえっている。全員がお互いを牽制し、警戒している様子だった。
そんな中、体格のいい色黒の坊主頭だけが空気を読まず、馴れ馴れしく周りに話かけていた。
それが高屋だった。
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