三年13

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「まあ、これはうちのクラスの奴が言ってたことの受け売りなんだけどな。それで俺はじゃんけんで負けて幹事になっちゃったし。永遠に幹事だよ。店の手配から連絡までやらなきゃいけないし大変なんだよ。まあそれが楽しかったりもするんだけどな」 「そうですか」  そんな話はそうでもいい。佐々木は話を元に戻す。 「あの時のメンバーは今どうしてるんですか?」 「ああ。俺以外は地元を離れて大学に通ってるよ」 「地元に戻ってきてってことは考えられないですか?」  大学生は暇だという話を聞いたことがある。  テストの時期さえ真面目に通っていればいい、と。 「それはない」  はっきりと言い切られた。 「だって、あの時のメンバーでお前らのこと、恨んでる奴なんかいないぜ」 「え? 何で?」  佐々木は恨まれていて当然だと思っていた。理解に苦しむ。 「あの時、お前らと一番もめてた奴いただろ」  あの背の高い男だ。 「あいつ以外は本当はもういじめをやめたかったんだ。最初は冗談のつもりだったけどどんどんエスカレートして、金まで巻き上げるようになって。さすがにこれはまずいよって思ってたんだけど歯止めが利かなくなったんだよ。そんな時にお前らが止めに来てくれたんだ。俺たちはむしろ感謝してるぜ」
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