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この人の歓迎ぶりはそういうことだったのかと一つ納得した。
でもまだ引っかかっていることがある。
「今の言い方だと、あの突っかかってきた人は俺たちのことを恨んでるみたいですけど?」
「いや、恨んでることはないはずだ。お前らは知らないかもしれないけど、あの後俺たち、あのいじめてた奴ともとの友達に戻ったんだぜ。いじめる前はあいつとも普通に仲が良かったからな」
いじめがなくなっただけではなく、河合と彼らの間に友情が戻った。
と言うことは自分たちのやったことは無駄ではなかった。
そう思うと、あの後味の悪かった出来事もやって良かったと思える。
高屋に教えてやれば喜ぶだろうか。
だけどそのことで高屋と河合の間の溝が埋まることはない。
それとこれとは別問題だ。
「だけど俺たちがあの人のプライドを傷つけたことに変わりはないでしょ」
「そんなことにこだわる奴じゃないけどな。それにそういう感情の問題を別にすればあいつが一番可能性がないぜ。あいつ今九州にいるからな」
「そうなんですか?」
それを先に言ってくれと思った。
「でも」
そう言うのは自分でもまだ彼らが関わっていないと認めてたくないのだと分かっていた。
「そんなに気になるんだったら俺が訊いてやろうか? 俺はクラス幹事だからな、クラスのみんなの連絡先を知ってるんだよ。直接あいつにじゃなくても周りの連中からでも訊けるぜ。それよりもな、俺たちが一番怪しいってのは分かるけどもうちょっと視野を広げた方がいいんじゃないのか?」
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