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「どういうことですか?」
あんたらが一番怪しいだろう、と口の先まで出かかった。
「お前らは知らないところで恨みを買ってるかもしれないってことだ。選抜コースの一位と選抜コースなのに野球部で一番うまい奴がつるんでるなんて目立つだろ。そういうやつは嫉妬されるんだよ」
彼の言うとおり、常にではなかったが選抜コースの一位のレッテルが貼られているのは佐々木だ。
そして高屋は二年生から四番を任せられるほどの実力だった。
そこで、去年彼らがなぜ自分たちのことを知っていたのかは分かった。
「特にお前だよ」
彼は続ける。
「うちの学校なら選抜コースの一位なんて一番目立つだろ。それだけでも十分なのに彼女もいるっていうんじゃ、そりゃ嫉妬されるだろ」
「いや、今は高屋が襲われた話なんですけどね」
佐々木は思わず苦笑してしまう。
彼の言うことを信用すると自分たちは不特定多数の人間に恨まれているかもしれないということか。
「ああ、そうだったな。とにかくお前にしろあいつにしろ、あまり好かれていなかったことは確かだ」
これでは収穫なしだなと気落ちした。
「どうもありがとうございました。参考になりました」
「俺に出来ることがあったら言ってくれよ。そうだ」と言ってポケットからメモ用紙を取り出し何かを書き出した。
「ほれ」
渡された紙には携帯番号とアドレスが書いてあった。
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