三年13

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 その時、一つのことが思い浮かんだ。  自分で言っていたことだ。  この事件に関することは全て必然の連鎖だ。 「俺に罪を着せようとして、それを俺たちで捕まえる……」  この言葉に引っ張られすぎていた。  今までは高屋に恨みがある人物、もしくは高屋と佐々木に恨みがある人物という風に高屋を中心で考えてきた。  しかし、実は佐々木のみに恨みがある人物だったのではないか?  小林が襲われたことが偶然じゃなかったとしたら少なくとも高屋は全く関係がない。  制服姿や坊主頭も高屋に罪を着せるという目的は間違いないだろうが、それが中心ではない。  高屋と小林をつなぐ人物と言えば自分しかいないのではないか。  また、犯人にとっては高屋が襲われたことは想定していなかったはずだ。  この事件と高屋が襲われたことは独立した二つの問題だ。  そして今になって思ってみればなぜ彼女は自殺したのだ?  彼女は被害に遭ったからと言って自殺を選ぶ子ではないはずだ。  当然、彼女にしかその時の苦しみは分からないのだが、彼女は本質的には気の強い子だ。  自殺を選ぶのではなく犯人と戦うことの方が似合っている。  今のところ被害に遭ったのは高屋と小林だ。  佐々木を中心と考えれば徐々に外から追い詰められている。  そうなると間違いなく次に被害に遭うのは由利だ。  昨日のうちに外出を止めておいて良かった。  ただ由利に手が出せないとなると今度は自分も覚悟しないといけない。  そもそものターゲットは自分なのだから。
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