三年14

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「あの、えっと……」  女の子が恥ずかしそうにもじもじしている。  これは告白だなと由利は気付いた。  同時に、告白と卒業式の二つの言葉がつながった。  これは小林が佐々木に告白した場面だ。  そう思って女の子の顔を覗くと、やはりあの卒業アルバムと同じ顔の小林だった。 「そういや、あの女子高に行くんだって?」 「あ、うん。そうなの」 「確か俺の行くとこと近いんじゃなかったっけ?」 「そうだね。最寄駅は一緒」  佐々木はこういうことに慣れているのか、かなり気を使って緊張を解きほぐしてあげている。  小林は覚悟を決めた顔になり大きく深呼吸をした。 「佐々木君とは高校に入っても学校も近いし、四月からは一緒に通ってほしいって言うか、えっと……」  小林は佐々木の努力の甲斐なく、まだかなり緊張している。  まともに佐々木の顔を見られていない。  佐々木は黙っている。  小林が最後まで言うのを待ってあげていた。 「何言ってるか分かんないよね」  小林はもう一度深呼吸をし、今度ははっきりと佐々木の顔を見た。 「あたしと付き合ってほしいの」  聞き終えた佐々木は考え込んでいる。 「今日ってそういう日なの? さっきからそういうことよく言われるんだけど」  えっ、と小林は驚いた。 「卒業式だからね。今日を逃すと下手したら一生会えなくなっちゃうかもしれないから」  そして少し怒ったようだった。  自分以外にも同じように告白した人間がいたというのをあっさりと言われたら怒るのも当然だ。
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