一年1

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「なあ、どこの中学出身? 家どこ? 俺はさ、中学では結構有名な野球選手だったんだけど、俺のこと知らないかな?」  高屋は当たり障りのないことと自慢を織り交ぜて話しかけていた。  こういう人の方が他の人からすれば、馴染みやすいのかもしれないが、この時には佐々木は好印象を抱かなかった。  と言うよりは、むしろ周りと打ち解けられないことにコンプレックスを抱いているため、こういうタイプの人間が嫌いだった。  こいつとは仲良くなることはないだろうという気持ちだった。  そして入学式当日にも関わらず、すでに高屋の周りに何人か集まっている。  やはり高屋のような人間の方が他の人を惹きつけるのだろうと思った。  高屋たちは何かしらの雑談で盛り上がっていたが、佐々木のところでは内容は聞き取れなかった。  実際には興味がなく聞く気がなかっただけかもしれないが、出会ったばかりというよそよそしさは伝わってきた。  そんな様子を見ていると、こんな奴と三年間一緒なのかと憂鬱にもなったのだが、意外にも高屋と初めて言葉を交わすのはこの出会いの一週間後になる。
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