61人が本棚に入れています
本棚に追加
携帯電話のアラームの音が耳元で鳴った。
手を伸ばして音を止める。
目をこすると、今いるのは自分のベッドの中だと由利は気付いた。
今のは夢だったのかと安心したが、あまりにもリアリティがあってまるでドキュメンタリーを見ているようだった。
あれはもしかしたら本当にあったことではないだろうか。
とりあえずパジャマから着替えてリビングに行った。
リビングではお母さんがテレビを見ていて、お父さんが新聞を読んでいた。
「あ、おはよう。すぐご飯、用意するね」
お母さんはそう言ってキッチンに行った。
「ありがとう」
由利はソファに座ってテレビを見た。
土曜日の朝らしく情報番組をやっていた。
しばらくしてお母さんがトーストと果物を持って来てくれた。
それを食べるとすぐに部屋に戻った。
ベッドに腰掛け、意味もなく鞄の中を探った。
やはり鞄には何もなく床に戻した。
昨日のことが気になっていた。
佐々木には家から出るなと言われたが、佐々木の様子はいつもと違った。
今の佐々木一人で行くのはまずいかもしれない。
そう考えると不安になり、さすがに朝のうちなら大丈夫だろうと思ったので、由利はレンタルビデオ店へ様子を見に行くことにした。
最初のコメントを投稿しよう!