三年15

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 佐々木は急に見知らぬ人に声をかけられて戸惑っていた。  まず初めに思い浮かんだのは、誰かと間違えているのではないかということだ。 「まあ、俺のことなんて覚えてるはずがないだろうけどな」  男は頭を掻きながら言った。 「佐々木だろ?」 「そうですけど」  名前まで知られているのだから人違いではないらしい。 「俺だよ。ほら」  男は照れくさそうに言っている。 「お前らに捕まえられたひったくりだよ」  あまりに唐突なことを言われたから理解するのに時間がかかった。  そう言われればそう見えないこともないが、あの時は背中を追いかけていて何度も顔を見たわけじゃない。  確か最後に疲れ果てて歪んだ顔を見ただけだ。  そう言われてもすぐには信じられない。  仮にそうだとしてもなぜここにいるのか分からない。 「何だよ。信じてない顔だな。それとも忘れちまったのか? まあ俺としてはどっちでもいいんだけどな」 「忘れたわけじゃないですけど、そりゃ、急にそんなこと言われて信じられるわけないですよ。まあ俺にしてもどっちでもいいんですけどね。それより何してるんですか?」  言いながら、自分に恨みのある人間とはこの人のことではないかと身構えた。 「お前こそ、こんなところで何してるんだよ? お前といいあの高屋って奴といい、警戒心はないのか?」  男は呆れたというのを露骨に示していた。 「どういうことですか?」
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