三年15

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「お前らに捕まった後、あのおっさんに言われたんだよ。今回は警察に届けないから二度とこういうことはするなって。あのおっさん、お前らに感動してたみたいだぜ。それに俺も感動しちゃってさ。そのおかげで俺は警察に捕まることなくひったくりも辞めれて、今はこうして真面目に働けてるわけだ」  やっぱりそうかと佐々木は少しがっかりした。  見ず知らずの高校生を助ける人などいないのだ。 「何だよ?」  男が不満げな口調で言ってくる。  佐々木のリアクションがもの足りなかったのだろう。 「いや」  佐々木はごまかすしかないと思い話を変えた。 「そうだ。高屋を襲った奴らって分かります?」 「顔は覚えてるが、どこのどいつだかは知らねえな」  男はお手上げだというポーズをとっている。 「そうですか」 「だから俺が説教してやったから大丈夫だって言ってるだろ。直接やり返さないと気が済まないのか?」 「いや、そういうわけじゃないんですけど」  目の前には二つの突破口があった。  有力だと思われた一つの穴は全く別の方向へつながっていた。  そうなるともう一つの、ほとんど塞がっていると思っていた穴を掘り進めるしかない。 「ちょっと用事が……」 「何の用があるんだ?」 「それはちょっと……」  佐々木は部外者に言うべきではないだろうと言うのをためらっていた。  男は考えている。 「よし、分かった。俺が探してきてやる。週明けまでには必ず連れてきてやるよ」
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