一年1

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 入学式の翌日、実力テストが行われた。  入学までにどれくらいの準備をしてきたのかを調べるための試験らしい。  入学してから分かることだが、この学校は試験というものが好きみたいだ。  ほぼ毎週、実施される小テストを始め、定期試験の合間に実力テスト、模擬試験を入れて、生徒に息つく暇も与えない。  そして、競争意識を煽る為に成績上位者が毎回発表される。  この実力テストは、そんなこの学校の生徒みんなが経験する、水の中で空気を求めて水面に浮上したと思ったら、そこもまた違う液体の中だったというように延々ともがき続けることになる試験シリーズの第一弾ということになる。  学校に来るなりいきなり試験が開始された。  中学まではまず自己紹介をして、クラスの委員なり役割を決めてクラスに馴染むことから始めていたのだが、この学校ではこの実力テストの結果こそが自己紹介であり、クラスの役割を決める材料であった。  そして、その結果が発表されることをみんなが知っていたため、試験中にもまわりの熱気が伝わってくるようだった。  人間は第一印象が大事ということで、意地でも最初に好成績を残したいみたいだ。  それは佐々木も同じで、ある程度認めている相手ならまだしも、初対面の人間になめられたくないという思いがあった。
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