三年15

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「あの人は?」  由利は体をぴったりと寄せてきた。 「ピーター・パン」   「え?」 「高屋を助けてくれた人だよ。以前、俺たちで捕まえたひったくり犯らしい。それよりもさっきも訊いたけど、なんでここにいるんだ?」 「ちょっと心配になっちゃって。大祐君、昨日いつもと様子が違ったから不安になったんだ。だから、様子を見に行こうと思って……」 「俺はいつもと変わらない。それよりも昨日よりももっと状況が悪くなったかもしれないんだ。さっき例の彼と会ってきたけど、去年の事件は関係なかった。そうなると犯人は高屋が憎いわけじゃないかもしれないって思ったんだ。高屋じゃなくて犯人は俺が憎いのかもしれないって」 「どうして大祐君が?」  由利が覗きこんでくる。 「それはまだ分からない。だけどそう考えると辻褄があうことが多いんだ」  分からないのは犯人が誰なのかとなぜ佐々木を恨んでいるかだ。 「そうだとすれば次は確実に由利が狙われる」 「そのことなんだけど」  由利が顔を伏せて小声になる。 「誰かにつけられてるみたいなの。レンタルビデオ店からの帰りからずっとついてくる」
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