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月曜日の予備校帰り、高屋は佐々木と並んで公園のベンチに座っていた。
外灯が二人を照らし出し、本来これは恋人たちのためにあるとしか思えない。
公園にひと気が全くなく高屋たちだけだったのが唯一の救いどころだ。
こんなのは他人に見られたくない。
高屋は学校での佐々木との会話を思い出していた。
「ピーター・パンに会わせてやる」
唐突に佐々木が言ってきた。
「正確にはピーター・パンとフック船長の両方が来ることになると思うけど」
「何だよ、それ」
高屋には何が言いたいのかさっぱり分からなかった。
「お前が名付けたんだろ。お前を助けてくれた人じゃなかったのか?」
「分かったのか?」
高屋は思わず声が大きくなった。
「たまたま会ったんだ。今日の夜にあの公園に来てくれるらしい」
「誰だったんだよ? 俺の知ってる人か?」
「あのひったくりだよ、一年の時、俺たちで捕まえた。あの人がお前がボコボコにされてるのを見て助けに来てくれたんだって」
そう聞くと高屋はがっかりした。
正義の味方をイメージしていただけに残念だ。
「何だよ。どうせならひったくりの方じゃなくてあのおっさんの方だったら良かったのに。鶴の恩返しみたいな」
「あの時、お前は何もしなかっただろ。恩を返されるべきなのは俺だ」
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