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「うるせえな、俺だって追いかけただろ。それで、ピーター・パンは分かったけどフック船長って何だよ? 俺はピーター・パンしか知らないぜ」
「フック船長はピーター・パンにやられた方だろ。つまりお前を襲った犯人だ」
「何でそいつらまで来るんだよ? ピーター・パンだけで十分だろ」
「だからそもそもの目的はあの三人組から話を聞くことだろ。心配しなくたって大丈夫だって。あの人がもう話をつけてくれたらしいから」
「別に心配なんかしてないって」
高屋は佐々木が去年のことを口にするのを待っていたがどうもその様子はない。
結局、覚悟を決めて自分から言った。
「あのさ、去年のこと覚えてるよな。あのいじめを止めに行ったこと。俺、あれが関わってるんじゃないかって思うんだけど」
「あれは関係してない」
佐々木はあっさり言った。
こっちは言うべきか悩んでいたのに拍子抜けだ。
「土曜日にあのいじめっ子のうちの一人に会ってきた。間違いない」
「何だよ。お前は相変わらず自分一人で進めて行くよな」
皮肉を言っているのに佐々木にはどこ吹く風だ。
「ああ、そう言えばあの後、あの河合って人といじめっ子は元通りの友達に戻ったって言ってたな。お前は知ってるかもしれないけど」
「え、本当かよ?」
高屋は嬉しかった。
もう河合とは縁がないと思っているが、やはりそれでも自分のやったことは無駄じゃなかったのだとはっきりとした現実を見せられると完全にふっ切れた。
心の中でずっと引っかかっていたものがなくなった気がした。
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