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しばらく待っても、誰も来る気配が無かったので、高屋は隣の佐々木に声をかけた。
「なあ。本当に来るのか?」
「さあ。俺は知らない」
佐々木の返事はそっけなかった。
「お前が来るっていたんだろうが」
「あ、来た」
そう言って佐々木は公園の入り口を指差した。
公園の入り口から何人かの人影がこちらに歩いてくる。
だが、近づいてきてはっきりと見えた人影は二人しかいなかった。
高屋はおかしいと思った。
来るのはひったくりと三人組の合わせて四人のはずだ。
「よう」と暢気な声を発しているのはひったくりだ。
その後ろで居心地悪そうにしているのは高屋を襲ったリーダーだ。
「いや、三人とも呼んでも良かったけどさ、こいつがリーダーだっていうからこいつだけ連れてきた。三人もいたら鬱陶しいだろ」
ひったくりが説明した。
「そうですね。十分ですよ」
佐々木が答えた。
「それで何の用なんだよ?」
リーダーは不貞腐れている。
「このあいだ、こいつのこと襲ったのは覚えてますよね?」
佐々木は高屋の方へ顔を向けた。
「何でそんなことをしたのか訊きたいんです」
思わず口を挟んでしまった。
「何でって、俺と強姦魔を間違えたからだろ」
佐々木は顔をしかめて睨んできた。
目は邪魔をするなと言っている。
それを見て佐々木の中の構想を崩してしまったのに気付いた。
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