三年16

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 しばらく待っても、誰も来る気配が無かったので、高屋は隣の佐々木に声をかけた。 「なあ。本当に来るのか?」 「さあ。俺は知らない」  佐々木の返事はそっけなかった。 「お前が来るっていたんだろうが」 「あ、来た」  そう言って佐々木は公園の入り口を指差した。  公園の入り口から何人かの人影がこちらに歩いてくる。  だが、近づいてきてはっきりと見えた人影は二人しかいなかった。  高屋はおかしいと思った。  来るのはひったくりと三人組の合わせて四人のはずだ。   「よう」と暢気な声を発しているのはひったくりだ。  その後ろで居心地悪そうにしているのは高屋を襲ったリーダーだ。 「いや、三人とも呼んでも良かったけどさ、こいつがリーダーだっていうからこいつだけ連れてきた。三人もいたら鬱陶しいだろ」  ひったくりが説明した。   「そうですね。十分ですよ」  佐々木が答えた。   「それで何の用なんだよ?」  リーダーは不貞腐れている。 「このあいだ、こいつのこと襲ったのは覚えてますよね?」  佐々木は高屋の方へ顔を向けた。 「何でそんなことをしたのか訊きたいんです」  思わず口を挟んでしまった。 「何でって、俺と強姦魔を間違えたからだろ」  佐々木は顔をしかめて睨んできた。  目は邪魔をするなと言っている。  それを見て佐々木の中の構想を崩してしまったのに気付いた。
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