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「え? そうなのか?」
ひったくりは驚いた顔をしてリーダーを見た。
リーダーは不貞腐れた顔のまま黙っている。
佐々木はやれやれといった顔で話し出した。
「あなたの言動から俺たちはそう思っています。あなたと親しい女の人が被害に遭ったんじゃないですか?」
「おい。何とか言えよ」
ひったくりは喋ろうとしないリーダーの肩をどんと叩いた。
それでも口を開かない。
佐々木は構わず続ける。
「俺たちがそう確信を持ったのは、犯人が俺たちの高校の制服を着ていて坊主頭だということで高屋が警察に疑われていると知った時です。もちろん、疑われていると言っても参考程度に話を聞かれただけですが」
「それで結局こいつに何を訊きたいんだ?」
ひったくりが佐々木に訊く。
「俺たちも犯人を探しています。多分高屋を見つけ出したなら知ってると思いますが、うちの高校で坊主頭は高屋だけです。だからもしかしたらこの事件は俺たちが発端になってるかもしれないんです」
「何で俺たちなんだ? 今の話を聞く限りお前は関係ないだろ」
ひったくりは首を傾げている。
佐々木は悩んでいた。
小林のことを言いたくないのだろう。
しばらく考えた後に、口を開いた。
「俺の中学の時の同級生が被害に遭いました。それで自殺したんです。付き合ってたわけではないんですが、他人から見たら親しかったように見えたみたいです。だからもし彼女が被害に遭ったのが偶然じゃなければ俺も関わってるかもしれない」
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