三年16

7/13
前へ
/263ページ
次へ
「ごめん。君には悪いことをしたな。あの時の俺は少し気がおかしくなってたんだと思う。本当に悪かった」  そう言うリーダーは外見こそ襲ってきた時と同じだが雰囲気は全然違う。  穏やかで気の優しい人に見えた。 「いや、誤解が解けたんならもういいですけど」  高屋はそう言うしかなかった。 「犯人について何か知ってることはないですか?」  佐々木が言う。   「残念だけど君たち以上に知ってることはないと思うよ。知ってるのはさっき言ってたみたいに制服と髪型ぐらいだ。力になれたらいいけどこれ以上彼女を苦しめたくないんだ。事件のことを思い出させたくないからね」 「そうですよね。その方がいい。今日は高屋の誤解が解けただけで十分です。ありがとうございました」  佐々木は立ち上がって頭を下げた。 「おい。ちょっと待てよ。これで手がかりは全くなくなったことになるんだぞ。どうするんだよ?」 「今のところはもうこれ以上どうしようもないだろ。この人にこれ以上訊くことが出来ないのはお前も分かるだろ」 「いや、それは分かってるけどさ」 「だったらもういいだろ。これ以上ここで食い下がるべきじゃない」  高屋が佐々木と言い合っていると、ひったくりがぽつりと呟いた。 「何で犯人は制服を着ていたんだろうな?」  佐々木と顔を見合わせる。  制服の話題は前に学校で佐々木と話した。
/263ページ

最初のコメントを投稿しよう!

61人が本棚に入れています
本棚に追加