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「ごめん。君には悪いことをしたな。あの時の俺は少し気がおかしくなってたんだと思う。本当に悪かった」
そう言うリーダーは外見こそ襲ってきた時と同じだが雰囲気は全然違う。
穏やかで気の優しい人に見えた。
「いや、誤解が解けたんならもういいですけど」
高屋はそう言うしかなかった。
「犯人について何か知ってることはないですか?」
佐々木が言う。
「残念だけど君たち以上に知ってることはないと思うよ。知ってるのはさっき言ってたみたいに制服と髪型ぐらいだ。力になれたらいいけどこれ以上彼女を苦しめたくないんだ。事件のことを思い出させたくないからね」
「そうですよね。その方がいい。今日は高屋の誤解が解けただけで十分です。ありがとうございました」
佐々木は立ち上がって頭を下げた。
「おい。ちょっと待てよ。これで手がかりは全くなくなったことになるんだぞ。どうするんだよ?」
「今のところはもうこれ以上どうしようもないだろ。この人にこれ以上訊くことが出来ないのはお前も分かるだろ」
「いや、それは分かってるけどさ」
「だったらもういいだろ。これ以上ここで食い下がるべきじゃない」
高屋が佐々木と言い合っていると、ひったくりがぽつりと呟いた。
「何で犯人は制服を着ていたんだろうな?」
佐々木と顔を見合わせる。
制服の話題は前に学校で佐々木と話した。
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