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「いや、警察だって学校関係者が怪しいってことぐらいは分かってるだろうし、俺に恨みのある奴を探してくださいなんて言っても意味がないと思うんです」
「確かに警察がそんなこと知るわけないもんな」
ひったくりが愉快そうに言った。
「だけどもうそんなに時間がないっていうのも事実です」
佐々木が呟いた。
「え?」
高屋は佐々木の顔を見る。
深刻な顔をしていた。
「土曜日、由利が誰かに追いかけられたそうなんです。由利を襲うというのは犯人はもうばれても構わないと思っているはずです。最終局面を迎えたということなんです」
佐々木は顔を伏せて言った。
「由利っていうのはお前の彼女か? そう言えば由利って言ってたっけ」
ひったくりが回想するような顔になった。
「だったら尚更警察に行くべきだろ? 無駄かもしれないけど何もしないよりかはましじゃないのか?」
リーダーが強く佐々木に勧めた。
「警察は実際に何かないと動いてくれないですよ。由利が追いかけられたっていうのも実際に相手を見たわけじゃない。錯覚だったかもしれない」
「じゃあどうするんだよ? お前の言うとおりだったとしたら、相手はなりふり構わず由利を襲いに来るぞ。黙って見てるのかよ?」
佐々木がほっておくはずがないと分かってはいたが、はっきりとそう言ってほしかった。
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