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「黙って見てるわけがないだろ。でも、どうしようもないのはお前にも分かるだろ」
「なあ」
ひったくりが呼びかけてきた。
「お前らは犯人のことをどう思ってるんだ?」
「何が言いたいんです?」
佐々木が怒ったように少し声が大きくなった。
「お前に恨みがある奴って言っただろ。もしそいつがお前のせいで死ぬほど苦しんでいたとしたらどうするんだ? お前の方が悪いってことはないのか?」
「そんなわけないでしょ」
真っ先にリーダーが言った。
「関係ない人間を襲った奴の方が悪いに決まってる」
「そうだって。こいつの方が悪いなんてありえねえよ」
高屋も続く。
高屋たちとは違い、佐々木は長く息を吐いて心を落ち着かせてから話し出した。
「言いたいことは分かります。犯人は犯人なりの正義を持って行動しているかもしれないってことですよね」
「さすがに物わかりがいいな」
ひったくりは嬉しそうだ。
「俺も元犯罪者だから犯人の方に感情移入しちゃうんだよ。俺の勘だけど犯人は自分が悪いなんてこれっぽっちも思ってないと思うぜ」
「仮に俺が悪で犯人が正義だったとしてもいいんです。俺はただ犯人を許せないし、由利が襲われるのなら何が何でも止めたい。それに自分のせいで事件が起きているのならその理由を知りたいんです」
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