三年17

4/5
前へ
/263ページ
次へ
「どうしたんだ?」 「鈴木だろ。あの生徒指導の」 「さっきからそう言ってるだろ」 「去年、お前、三年の先輩に告白されただろ。名前は、何て言ったっけな。まあそれはほっといて、俺、変な噂を聞いたんだよ。その先輩、鈴木と付き合ってたらしいんだ。結構三年の間じゃ、有名だったらしいんだけど、お前に告白したせいで別れたっていう噂だったぜ」  そう言われてみればそんなことがあった。  去年に一度だけ一個上の先輩から告白された。  当然、由利と付き合っていたので悩むまでもなく断った。  あの時の彼女が鈴木と付き合っていたとして、佐々木のことを好きになって別れたとしたら、鈴木が恨んでいたとしてもおかしくない。  男としてのプライドをズタズタにしたのだから。 「だけど、もし鈴木が犯人の一人だったとしても、あと一人は誰なんだよ?」  高屋が訊いてきた。   「それは分からない。でも、俺の予想じゃ、もう一人はただ、口車に乗せられているだけだと思う。あの人も言ったように、普通の感覚を持っていたなら制服を着て強姦しようなんて思わないはずだからな。面白半分に協力しているだけだと思う」 「面白半分で強姦する奴がいるのか?」  高屋は眉間にしわを寄せている。
/263ページ

最初のコメントを投稿しよう!

61人が本棚に入れています
本棚に追加