一年1

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 その実力テストの翌日、朝のSHRで結果が発表された。  さすがに、この学校の先生たちは試験慣れしているせいか、結果が出るのが早い。  みんなが緊張の面持ちで結果発表を待った。  そしてその結果、佐々木がクラスの一位をとってしまった。  テスト後の手ごたえから、ある程度予想していたことだったが、実際に発表されると少し驚いた。  しかし、このことが意図せずして周りとの間に分厚い壁を作ってしまうことになる。  この学校、特にこのクラスは、勉強自慢が集まっていて、その上、ある程度仲良くなってお互いを認め合っていれば別だが、二日前に出会ったばかりの奴に一位をとられたとなると、みんなはひどくプライドを傷つけられた。  結果が発表された時、たくさんの敵意むき出しの視線に晒された。  そして、入学してから一週間が経過した。  実力テストのせいで、周りから話しかけられることもなく、また元々の佐々木の性格では自分から話しかけることもなく、そうなれば必然的に友人ができることもなかった。  そんな佐々木とは違い、周りではもう既にいくつかのグループが出来ていた。  その日もいつものように大した出来事もなく、学校での一日が終わり、いつものように学校から駅の方に歩いて五分の距離にある図書館に行こうと教室を出ようとした時、担任の木島に呼び止められた。 「佐々木、高屋。ちょっといいか。頼みたいことがあるんだ」
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