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一度気になればそればかりで頭の中を埋め尽くされる。
こんな時に相談できるのは佐々木しかいない。
由利は携帯電話を取り出し、電話をかけた。
「もしもし」
数回のコールの後、すぐに電話に出てくれた。
「あたしだけど」
「どうしたの? 何かあった?」
佐々木はかなり心配してくれている。
それが逆に申し訳なくなった。
「いや、大したことじゃないんだけど。ちょっと気になることがあって……」
「何?」
「小林さんの名前って報道なれなかったよね?」
一瞬、間が空く。
「ああ、そう言えばそうだな」
「それなのに高屋君は何で知ってたんだろう? 遺族の意思で名前が公表されないようになってたら警察も普通は学校の先生なんかには言わないよね? 考えたくはないけどもしかしたら高屋君がって思っちゃって……」
それを聞いた佐々木は、ハハハと声を出して笑った。
「もしかしたら高屋が犯人かもってことか」
「何で笑うの? 真剣に言ってるんだけど」
「ごめん、ごめん。高屋は犯人じゃない。それだけははっきりと言っておくよ。俺も先生に小林のことを確認した時、知ってたから」
僅かな間があった後、真剣な口調に変わった。
「そうか。それも不自然な点だ。これでまた一つ鈴木を追い詰める材料が出てきたということか」
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