三年18

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「鈴木? 鈴木って誰?」 「うちの生徒指導だよ。高屋もあいつから聞いたはずだ」 「え? うちの先生が犯人なの?」 「おそらくね。詳しい話は明日するよ。電話代もったいないだろ。もう気にしなくても大丈夫だから。明日には決着をつける」 「決着って、どうやって?」 「それは今から考えるよ。でも、まさか高屋を犯人扱いするなんて思ってもみなかったな。もう二年の付き合いになるのに」 「あたしだってそうは思いたくなかったけど……。お母さんは小林さんのことを知らなかったのに何で高屋君は知ってたんだろうって気になっただけだよ」 「それも鈴木が犯人だからだ。じゃあ、また明日。必ず決着をつけるよ」 「うん、じゃあね。おやすみ」 電話を切ると、気持ちがすっきりしていることに気付いた。 最後に茶化すようなことを言ってきたのも佐々木の気遣いだ。 あれで大分楽になった。 高屋は犯人じゃない。 そして犯人は自分の高校の先生なのだ。 佐々木が自信を持った口調で言うからには間違いない。 それにしても鈴木って誰だ?  今まで授業を持ってもらったことがないはずだ。 まあ、いいか。誰であっても。 明日には佐々木が全て解決してくれる。 これで安心して勉強に取り組める。 もう一度、教科書を開いて続きに取りかかった。
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