三年19

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「逆に理由がないからです。仮に高屋に恨みを晴らそうとしてそんなことをしたとしても、調べれば高屋の無罪はすぐに証明されるし、結果として犯人は自分が逮捕されるだけです。それでは何一つ復讐を果たせていないんじゃないでしょうか」 「そういうことか。確かに君の言うとおりかもしれないね。だけど、本当は君たちと全く関係がないとも言えないか?」  鈴木の目が泳いでいる。 「理由はもう一つあります。犯人には元々、僕との接点がなかった。その接点を作り出すためです」 「昨日もそんなこと言ってたな。どういうことだよ。さっぱり分からないぞ」  高屋が口を挟んできた。  口出しするなと言っておいたのにと思ったが、高屋に期待する方が間違いだった。  佐々木は高屋の方を向いて説明する。 「少なくとも犯人がお前に似た姿だったとしたら、お前は確実に話を聞かれることになる。それで犯人は二人組だったら、さっきも言ったようにお前の相方として真っ先に思い浮かぶのは俺になるだろ。そうなれば自然な形で俺からも話を聞けて、俺の様子を窺えるようになる」 「それは分かるけど、何でお前の様子を窺う必要があるんだ?」  高屋がまだしつこく訊いてくる。 「犯人は俺を苦しめたいんだ。俺の苦しんでる姿を見ないと意味がないだろ」
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