三年19

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 鈴木はじっとこちらを睨んでいる。  対決の覚悟を決めたみたいだ。  また、余計なことを言えばぼろが出ると分かっているという感じだ。  佐々木がどこまで分かっているのかを見極めている。  こっちも証拠を掴んでいないのだから立場は似たようなものだが、喋らないわけにはいかない。  慎重に言葉を選ぶ必要がある。  まず一枚目のカードを切る。 「その彼は僕も知っている人物でした。高屋に聞いてから色々思い返してみたんです。そしたら、その彼との会話の中で一か所だけ違和感を感じることを言っていたのに気付きました」 「違和感?」 「ええ。僕が被害に遭ったのは本当に小林だったのかと訊いた時、その彼はそれがどうかしたのかと言ってました。あの時の会話の中身や雰囲気から言っても、あそこで僕にあんな質問するのはおかしい。あれは、その彼の予想通り、僕が小林が被害者になったことを気にしているのを見て嬉しくなったんだと思います。思わず本音が出てしまったというわけです。あの時は気にならなかったけど、今になって考えてみればあの一か所だけ、他に比べて違和感があるんです」 「僕は違和感を感じないけどな」  鈴木はぼそぼそっと呟いた。
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