エピローグ1

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――強姦事件の犯人の一人は昨日のうちに逮捕され、そしてその数時間後、もう一人の犯人が自首して来ました。  犯人逮捕の決め手となったのは、自殺した被害者に付着した体液でした。  朝のニュース番組でキャスターがそう言っているのを高屋は聞いた。  佐々木の言っていた通り、小林の体に付いた体液が犯人逮捕に結び付いたのだ。  だがそれは鈴木のものではなく、もう一人の犯人のものだった。  もう一人の犯人は以前も性犯罪を犯したことがある人で、容疑者に名前が挙がっていて既に何度か事情聴取を受けていたそうだが、証拠がなかった。  そこで、被害者に付着した体液のDNAを調べたところ、犯人のものと一致したそうだ。  そして、またこれも佐々木の言っていた通り、鈴木は自暴自棄になることはなかった。  だけど、少し変だなと思ったのは、相方が逮捕された後に自首している。  佐々木が言うには、鈴木が捕まればすぐに相方も捕まるということだった。  これでは順序が逆である。  高屋は疑問を抱えたまま、学校へ向かっていた。  佐々木に会えばすぐに教えてくれるだろうが、何でもかんでも佐々木に聞くのは癪に障るので、それまでに自分で答えを探してみたが、やはり分からなかった。
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