エピローグ1

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「でもさ、俺たちだって犯人を突き止めたんだぜ」 「それには何の意味もなかったんだ。今、お前が言っただろ。あの事件に俺たちは不要だったんだ。いてもいなくても何も変わらなかった」 「お前は何でそんなに簡単に割り切れるんだよ? あれだけ必死にやったのに無意味だったでいいのかよ」 「お前が何かやったのか?」  いざそう聞かれると何も言い返せなかった。  何かやったのか? と言われれば、何もしていないということはないはずだが、具体的なことは思い浮かばなかった。 「とにかく、何か、がっかりしたな」 「お前は自分が中心でいたいと思いすぎなんだ。世界は常に俺たちが中心で回ってるわけじゃないんだ」 「人間だったら、誰だって自分が中心で世界が回ってると思ってるよ。お前がおかしいだけなんだ」   「お前にだけは言われたくないけどな」  高屋は、ふん、と鼻を鳴らした。 「だけど、小林はすごいよ。命を懸けて犯人の証拠を残したんだから」 「は? 何言ってるんだ?」 「いや、昨日お前が言ってただろ。証拠を残すために自殺したって」 「そんなはずないだろ。わざわざ自殺しなくても証拠が残ってるのならそれを警察に持っていけばいいだろ」 「昨日、お前がそう言ったんだぜ」 「本気にしたのかよ。ありえないだろ」
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