エピローグ1

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「多分、そうだろ」  佐々木はそっけない。 「どうして、お前が河合君からそんなことを頼まれてるんだよ?」 「どうでもいいだろ。話すと長くなるんだよ。とにかく、あの人の野球サークルでキャッチャーやってくれる人を探してるんだって。だからお前を誘っといてくれって頼まれたんだよ。サークルだから誰が来てもいいらしいから、お前も気を使わずに来てほしいって言ってた」  じわじわと嬉しさと戸惑いがこみ上げてくるのを感じた。  嬉しさはもう一度河合と野球が出来ること、戸惑いは、あの時河合は怒っていたんじゃなかったのかということだ。  佐々木は何かをして許してもらえたのか。 「で、どうなんだよ? 来れるだろ。俺、もう連れて行くって言っちゃてるんだよ。来てもらわないと困るんだよ」 「あ、ああ。行く行く。それより、あの人、怒ってなかったのか?」 「ああ」  佐々木は申し訳なさそうな顔になった。 「あれは俺の勘違いだったみたいだな。全然、怒ってなかったよ。あの人もそう思わせたことが悪いと思って、ぜひともお前に来てほしいんだってさ」 「そうか。そうだったのか」  人前でなければ泣き出しているところだ。 「今週の土曜日だよな。絶対行くよ」 「何だよ。やっぱり暇なんじゃないか」
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