一年1

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 入学以来、図書館で午後六時まで勉強するのを日課としていた。  そうでもしないと、宿題やらテストやらに追われて首が回らなくなる。  また図書館というのは便利な場所で、個人ブースで勉強が出来るようになっていた。  家で勉強すればいいのだが、これだけ勉強に追われた生活をしているとせめて家の中では勉強から解放されたいという思いから、図書館で勉強することを佐々木は好んだ。  委員長を任せられそうになったこの日も図書館に来ていた。  そしていつものように、勉強を終えて六時に図書館を出た。  外に出ると、六時という時間ではあるが、まだ四月なのであたりは既に夜の気配を漂わせていた。多少の肌寒さも感じる。  いつもであれば、十五分ほど歩いて駅まで到着するのだが、この日はここだけはいつもと違っていた。  図書館を出て、駅へあと三分もかからないところの曲がり角にコンビニがある。  駅前の三店舗のうちの一つだ。  その角を曲がろうとすると、前方からまず、一人の男が横を走り去った。  必死の形相で走っていたので、何だ、と不思議に思っていると、少しの間があって、大声を出しながらその男を追いかけるまた別の男が近づいてきたのだ。 「ひったくりだ! 誰か捕まえてくれ」
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