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クラス幹事の彼はそこは説明していなかったらしい。
佐々木の口から言った方がいいと気を使ってくれたのかもしれない。
「あの後、高屋、ものすごい落ち込んでたんですよ。河合さんを怒らしちゃったと思って。この機会だから、一度会ってくれないかなと思って、頼みに来たんですよ」
「別に怒ってたわけじゃないんだけどな」
「あ、そうなんですか?」
あれはどう見ても怒っているようにしか見えなかった。
「最初は嬉しかったんだよ。それまではみんな見て見ぬふりだったから。でも、助けてくれたのが高屋だって分かって、急に恥ずかしくなっちゃってさ。それでも、ちゃんとお礼は言おうと思ったんだ。だけどいざ話しかけられると何も言えなくなっちゃって、逃げ出したんだ」
「そうだったんですか」
顔を紅潮させたのは怒りじゃなく恥ずかしさだったということか。
「そうか。高屋、落ち込んでたのか」
「会ってもらえないですか?」
「いいよ。俺もあいつに謝りたい。実は今日俺が来たのはそれが目的だったんだ」
考えることは一緒かと言っていたのはこのことだったのか。
ふと、あの時高屋が言っていたことを思い出した。
「野球は辞めたんですか?」
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