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「高校ではやらなかったな。うちの学校、勉強ばっかだろ。俺のレベルじゃ、野球も勉強もなんて無理だったからな。その点、高屋は偉いよ。選抜コースにいながら、野球もやってたんだから」
「あいつは名ばかりの選抜コースですけどね」
河合はフフッと笑った。
「仲がいいんだな、本当に」
「どうでしょう。それより、あの時、高屋がいじめを止めたらまた河合さんとバッテリーを組めるんじゃないかって期待してたんですよ」
「そうなのか」
河合はじっと考えている。
「俺、今さ、大学の野球サークルに入ってるんだよ。その試合が来週の土曜日にあるから、それに高屋を誘っといてくれないか? あいつぐらいの実力ならみんなに歓迎されるよ」
「そんなのに高屋が行ってもいいもんなんですか?」
「サークルって言ったって、ちっちゃいし、誰もキャッチャーなんてやりたがらないからな。あいつに来てもらえると助かる。もちろん、ピッチャーは俺がやる」
「分かりました。俺が責任を持って必ず連れて行きます」
「頼んだよ」
帰ろうと伝票をとると、「いいよ」と言って会計も河合が払ってくれた。
そして、別れ際に、「楽しみにしてるよ」と言い残し別れた。
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