エピローグ3

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 佐々木の言うとおり、鈴木は自首したことに対する情状酌量を求めるそうだ。 「どうでもいいんじゃないの。大祐君が一生懸命やった結果なんだから。きっと小林さんも喜んでるよ」 「もう小林の話はいいだろ」  佐々木は苦笑しながら横目で視線を向けた。  大きな歓声が上がった。高屋がホームベース上でガッツポーズをしていた。  周りの雰囲気から二盗を刺したのだと分かった。  佐々木はおそらく後悔はしていない。  自分は間違ったことをしていないと分かっている。  それでも、ベストは何だったのかということで悩んでいる。  あのまま黙って見ているのは我慢できなかったし、何より自分でけりをつけたかったはずだ。  だけど、それは結果として鈴木の罪を軽くしてしまった。  未だにベストを模索している。 「もし俺がああいう手段じゃなくて、直接手を下すような、例えば殺しに行ってたとしたらどう思う?」 「大祐君は絶対そんなことしないと思うけどね」 「そうかな。由利が被害に遭ってたら絶対そうすると思うけどな。まあ、それは置いといて、例えばの話でさ、もし俺が鈴木を殺したとしても俺は正義なのかな? それとも人を殺した人間は問答無用で悪なのかな?」 「うーん、難しいね。どっちかとは言い切れないよね。誰にだって正義の概念は違うんだし。でも法律の正義に従えば悪になるのかな」
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