三年1

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 駅を出てから五分ほど歩くと比較的大きな交差点に着いた。  信号待ちをしながら、そろそろだなと思っていると、いつもの通り高屋誠が現れた。  佐々木と高屋は同じ高校に通うクラスメイトだ。  高校に入学した後に初めて会ったにも関わらず、高校時代を振り返るとそのほとんどの場面に高屋が登場してくる。  誰とでも親しくなる高屋と違い、あまり周りと打ち解けられない佐々木にとっては唯一の気の置けない友人でもあった。  高屋とは毎日、この場所、つまり二人の通学路が交わる地点で出会う。  傍から見れば、待ち合わせをしているように見えるだろうが、実際は待ち合わせをしているわけではない。  それでもいつもこうして二人で登校している。  佐々木は毎日同じ電車に乗って、高屋も毎日同じ時間に家を出ているから、結果としてこのようになっただけだ。  佐々木はいつものように鞄を高屋の自転車のカゴに投げ入れたが、高屋の顔を見ると、様子がいつもと違っていた。  興奮を押し殺したような雰囲気もそうだが、何より左目の上には、白のガーゼが貼ってあった。  坊主頭で色黒の高屋の顔には、白のガーゼは非常に目立っている。  そのせいで隣を通り過ぎる人たちがじろじろ高屋の顔を覗いてきた。  佐々木は自分まで見世物になっているようで多少の不快感を覚えた。
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