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「どうしたんだ、それ?」
「何だと思う?」
高屋の顔は押し殺してあった興奮が染み出てきたように、にやついていた。
「俺が知ってるわけないだろ」
高屋の顔は自慢げに緩んだ。
「実は昨日、俺、殺されかけたんだ」
「へえ」
「聞きたいか?」
「別に」
興味がないこともなかったが、そのような言われ方をするとどうしてもこう答えてしまう。
「おいおい。そんなこと言うなよ」
高屋は佐々木の意見を無視して話し始めた。
「昨日さ、予備校からの帰り道にあの公園を通ってたんだ。お前も知ってるだろ? あの公園だよ」
高屋の予備校からの帰宅路には公園があった。
住宅街の中にある、遊具と狭いグラウンドがある公園だ。
そこに夜中にも関わらず集まって大騒ぎする奴らがいるから度々、住民から苦情が寄せられていた。
佐々木は高屋のもったいつけたしゃべり方が面倒くさかったのだが、「それで?」と先を促した。
「考え事をしながら自転車を漕いでいたら、急に目の前に男が三人、立ち塞がったんだ。まさに、湧きあがってきたって言うのか、本当に突然現れたんだ。俺が慌てて急ブレーキをかけたからぶつからずに済んだけど、あれは、俺じゃなかったらぶつかってただろうな」
「それで、お前はいつになったら殺されかけるんだ?」
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