一年2

9/9

61人が本棚に入れています
本棚に追加
/263ページ
 人は同じ目的を持って共に行動すると仲間意識が芽生える。  高屋の中には、昨日の出来事で佐々木と強く結ばれた気がしていた。  そして、何より昨日の佐々木の態度に感動した。  自分の信念を持って生きているというのは男から見ても格好いい。  その信念があるからこそ、普通は喜んで受け取るはずのお礼を受け取ろうとしなかったのだ。  こいつと一緒にやりたい。そう強く思った。  佐々木は懇願している高屋に同情したのか、根負けしたというような表情をし、小さく息を吐いた。 「分かったよ。引き受けるよ。だけど、俺は副委員長だからな」 「当たり前だろ。お前、自分が委員長できると思っていたのか。図々しいやつだな」  高屋は真顔で言い返した。  すると、佐々木の顔が鳩が豆鉄砲を食ったようになったので、それが可笑しく、笑ってしまった。  佐々木もそれにつられて照れくさそうな笑みを浮かべた。
/263ページ

最初のコメントを投稿しよう!

61人が本棚に入れています
本棚に追加