一年3

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 高屋が、おっと感嘆の声を出した。 「鋭いな。実は今日、このあいだの試合のことで監督の説教があるはずなんだ。でも、文化祭のための話し合いがあったって言えば、遅れて行っても怒られることはないだろ」  高屋の表情が緩んだ。 「しかし、お前はさすがだな。よくそこまで見抜けるもんだ。俺の相棒なだけあるな」  高屋は心底嬉しそうだった。  佐々木は苦笑していた。  相棒であるということは、その相棒のサボりの口実作りに付き合わなくてはいけないということか、とでも言いたそうな顔をしている。  そんな佐々木とは違い、由利は驚くとともに感心していた。  自分でもこの不可解な話し合いの理由を考えていたのだが、まさかサボりのためのものだなんて思わなかった。  それを見抜いた佐々木に驚き、そしてそれが分かるほどに二人がお互いを理解し合っていることに感心した。  そう思って佐々木の方を見ていると急にこちらを振り返ったので、目があった。  急に目があって、どきりとしたが佐々木は素知らぬ顔だった。 「そういうことらしいよ。俺たちは用なしだってさ」  手を一度払うように振った。  ほとんど二人と話したこともない由利がここにいるのは気まずいと思い、気を使ってくれているのだと分かる。  他人と打ち解けようとしない佐々木がそんな気遣いを持っているとは意外だった。  そして、彼が続けた。 「だから、先に帰っていいよ」
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